老舗惣菜店、廃業を回避し雇用・自宅・未来を守る
~店舗譲渡+民事再生+キャリア再生で、新たな経営者候補へ~

企業概要

福岡県内の老舗デパートにテナント出店し、惣菜・弁当の製造小売業を展開してきた創業20年の法人。地域に根差した味と品質で長年親しまれてきました。

再生前の課題

新型コロナウイルスの影響で来店客数が激減。売上が大きく落ち込み、さらに食材・光熱費の高騰が経営を圧迫。銀行からの追加融資も断られ、法人の資金繰りは限界に達しました。
弁護士へ相談した結果、法人・個人の破産を勧められる状況に至りました。

代表者の想い

「廃業だけは避けたい」「自宅だけは手放したくない」「スタッフの雇用も守りたい」――そんな強い想いから、弊社にご相談いただきました。

当社の支援と解決スキーム

弊社は、代表者の意思を尊重しながら、下記の内容で再建を実現しました。

  • 店舗の事業譲渡を実行 → 同業者が事業を引継ぎ(リブランディング)
  • パート・アルバイトの雇用継続を実現
  • 法人は負債約3,500万円を破産申立により整理
  • 代表者個人の債務(法人連帯保証分3,500万・カードローン等、計約4,000万円)を個人民事再生で400万円に圧縮
  • 債権者との合意により、60回(5年)分割返済を確定
  • 自宅は売却せず維持(自宅の住宅ローン残債2,000万はこれまで通り返済)

再生後の成果

  • 店舗事業は継続、地域の顧客・雇用も守られた
  • 法人は破産整理を行い、債務の清算を実施
  • 代表者は破産を回避し、自宅も守ることに成功
  • 個人の生活基盤を維持しながら、前向きな再スタートへ

新たなキャリアと未来へ

代表者はその後、料理人としての技術と実績を買われ、別の同業他社に再就職。誠実な仕事ぶりと高い専門性が評価され、3年後には取締役に昇進しました。
さらに現在は、オーナーより「将来的な社長交代・事業承継」の打診を受けるなど、新たなステージで経営者候補としての道を歩み始めています。

当社提案スキームの特徴

本件では、一般的に多く選択される「法人・個人ともに破産」という形ではなく、以下の“法人と個人を切り分けた再建スキーム”を採用しました。

  • 法人は破産による整理
  • 代表者個人は民事再生による生活再建

当初、提携先の弁護士からは「法人・個人ともに破産」という提案がなされていましたが、代表者には「自宅を守りたい」「再出発の可能性を残したい」という強い想いがありました。
そこで弊社は、法人清算と個人再生を組み合わせることで、事業整理と生活再建を両立できる可能性を検討。弁護士からも、「この組み合わせでの対応は経験がなく、正直戸惑いもあった」と言われるほど、極めて珍しいケースでした。

しかし、関係者との丁寧な調整と、事業譲渡・個人民事再生を組み合わせた現実的な設計により、以下の成果を実現することができました。

  • 店舗事業の承継
  • 従業員雇用の維持
  • 個人債務の大幅圧縮
  • 自宅維持
  • 代表者の再スタート

本件は、「破産しかない」と思われる局面であっても、固定観念にとらわれず、状況を多面的に分析することで、新たな再生の道を見出せることを示した事例となりました。
廃業=破産が唯一の選択肢に見えた状況でも、「守るべきもの」を明確にし、最適な手段を講じることで、人生は再び動き出します。私たちは、単なる債務整理ではなく、その後の人生やキャリア再生に寄り添う再建支援を目指しています。
「失うだけではなく、取り戻し、育てていける」――この事例は、その象徴です。